酒田にて 3――南洲神社粛々参拝

いつも街なかをぶらつき、野山をうろつくだけの旅ではありますが、このたびは一応、目的らしいものはあって、酒田では先ず南洲神社を訪ねるつもりでした。いうまでもなく「南洲」は西郷隆盛の号です。

評伝や小説からその人となりを窺い知り、遺された筆跡から人柄を想像するばかりではあります。正直に言って、歴史にはほとんど興味がありません。

就職したての頃、鹿児島出身の上司から海音寺潮五郎の『西郷隆盛』を読んでおくようにと半ば命じられました。もともと読書、しかも歴史書は苦手でしたが、往復2時間以上かかる通勤電車で、朝日文庫の全14巻を長い間かけて読み通したものです。

そこから何を学び取ったかは分からないのですが、40年以上経た今となって思えば、ひとりの人の生というもの。そのとてつもない重みと深みを感得していたのかもしれません。また、西郷への敬慕の念はそこで培われていたのでしょう。

官軍に激しく抵抗した庄内藩に対して西郷が下した寛大な処分について、ここで語る知識も見識もありません。が、庄内の皆様が南洲神社を建てた気持ちには通ずるものを感じます。またその創建は、わたしが就職した昭和51年であったのも、奇縁といえば奇縁です。

この節、観光で訪れる者もなかったためか、神社を守る庄内南洲会の方から一時間ほども南洲翁の事績、鹿児島の街のことなど、話題は様々な方面に及び、丁寧な説明を頂きました。

そのなかで、以前ある同人誌の集まりで鹿児島を訪ねた時に紹介いただいた方のお名前が聞かれたのには驚きました。薩摩藩重臣の家柄で、その堂々たる体躯と重厚な面貌が強く印象に残る方でした。強烈な存在感。ところがこの神社にあって、何の話題でお名前が挙がったか覚えていないのは、まことに情けないことです。

また、宿にしていた最上屋旅館に戻って主人とその日のことを話していたところ、南洲神社でお世話になった方は勤め先が一緒だったとのことで、またいつかお参りに伺わねばと思っています。


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後記。
たまたまながら、この庄内に旅立つ前の晩、映画『花のあと』(北川景子主演、2009年)をNHKのBSで観ました。原作はむろん藤沢周平。折目正しい武家の生活が抑えた調子で描かれています。鳥海山の四季とともに。

女剣士・糸が眺める桜の枝と背景の水面。その色合いと構図が、神奈川県立三ツ池公園でずいぶん昔にフィルムカメラで撮ったものと寸分違わないのです。奇妙な感覚でした。

それに先立って、同じ枠で『山桜』(田中麗奈主演、2008年)が流され、懐かしく観たものです。

「キメツノヤイバ」などと意味不明の題名の大当たり映画からは、いかに遠く隔たった作品であることか(苦笑。

次はどうしても「海坂藩」の鶴岡を訪ねねば……そう改めて思ったことです。




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