松島の秋 2ーー島々の間を巡って塩釜へ

果てもなく広がる海水が瓦礫を攫いながら右から左に延々と流れ、果てることがない。異様なその光景は、こちらの心の根っこまでも否応なく絡め取って瓦礫とともに流し去り、抗うことができない。目を奪われながら涙が止まることはなかった。

名物の蒲鉾を少し買い求めながら、おかみさんがその材料にする魚や製法のこと、工場と店舗の再建についてのご苦労を伺った後だけに、その源がこの津波だったのだと思うと、遣りきれなさが募り、おかみさんにお別れと激励の言葉を掛けようにも、嗚咽とともに口はもごもごするばかりで動かず、ただ深く一礼してガラス戸を締めるだけだった。

人という存在の根底を無にする自然の大いさを実感しての無力感と根底の不安そして絶望、ともいうべきだろうか。

ーー何年か前、塩釜の海岸近くで蒲鉾の製造を再開したばかりという店を出る時、そこに置かれた小さなモニターに映っているのに気がつき、見入ってしまった時のこと。

そのようなことがあっただけに、このたび松島の紅葉を観に行くにあたっては、お隣の塩釜にはぜひ伺わねばと思っていた。蒲鉾屋さんの様子を窺ったあとに鹽竈神社をも参詣したいと、御朱印帳も久しぶりに持参していた。

しかし情けなや、片道の観光船に乗って塩釜の船着場でお安い刺身定食をとり、ひや酒を一本もらったら、もう歩く気がしない。駅前の大型スーパーでその晩の食料を仕入れるので精一杯なのだった。当初の目的も何もあったものではない。身体が動かなければ何もできず、まったくもって、情けない…。

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四日間にわたってお世話になった「Uchi 松島ゲストハウス」の前で見られた楓の木。日々色づき、天候による光の具合、風の吹き方により、見えかたと撮り方は無限に変わる。

ゲストハウスでは気さくなホスト氏のおびただしいレコードコレクションの中から無理を言って一枚かけてもらいながら缶ビールを飲み、氏に介されて、フランスから来られたという中年男性の旅人や、静岡出身で徳島在住の学生さんなど、さまざまな方々との会話があった。今どきの旅行はこういう楽しみもあるのかと、思いを新たにするのだった。

省みれば、去年今年は図らずもこういう機会が重なり、それぞれのハウスで色合いの異なる経験を味わうこととなった。(ホテルに泊まるカネがないんで!)
「Uchi Matsushima guesthouse」https://www.uchi-matsushima.com/

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五大堂を観光船乗り場から

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朝まだ早く、余裕があったので、船着場のお隣にある観瀾亭のあたりをウロウロと…

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場所により陽当たりは異なり、樹の種類は様々。同じ種類でも個性は違い、この世は無限で……

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出港前に

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船上からポーンと投げられた舫綱(もやいづな)の先にある細い綱を受け止め、たぐり寄せ、先の輪を繋船柱にかける。舳先と艫。久里浜、金谷、那覇、渡嘉敷……どこの港で眺めていても、彼らの動きには無駄がない。ごく稀に受けそこなうこともあるけれど!

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「本日の刺身定食」は鮪、ハマチ、〆鯵で、700円。定食用の “厚切りの量たっぷり” は、酒飲み老人にはあまり適さない。入り口にいた店長さんが「テーブル1番!」と声をかけたのに「カウンター1番」の隅っこに案内され、窮屈な思いをしたことも響いているかも。

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塩釜で疲れきって電車で松島海岸に戻り、宿の近くにあるホテルの温泉を借りて浸かろうと、足を運ぶ。

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この福浦島に明日は渡って、樹々を見たいと思いながら。

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いつもながらの佗しき晩餐。






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