先月の旅 その3 大間々の町で食堂をハシゴ

(冒頭にお詫び。じつはこのお題、今となっては「先月」ではないのです。わたらせ渓谷鉄道に乗って足尾の手前まで行き、帰りがけに大間々という町に立ち寄ったのは5月20日のことでした。寄り道とつまみ食い、気まぐれな駄文を綴るうちに早ふた月半、嗚呼…)

いつぞやの赤城自然園行き団体バス旅行の際、街並みを通り抜けながら、いつか来てみたいと思っていたのが大間々という町だった。

車窓からは、栄えていた昔が所々に窺われた。ということは寂れた町で、当方の好みに合うという寸法で。

狙いどおりだった。じっさい歩いてみると、商店らしきものは老舗の醤油醸造販売店のほか、二、三軒ほど。

目ぬき通りの両端にある常夜燈の間をあちこち覗きながら往復し、その途中で行き会った小学生の社会見学らしいグループの子らと挨拶を交わした心持ちのままに、目をつけていた街角の中華食堂の暖簾をくぐった。

「ほんじゃ、瓶ビールちょうだいネ」と、こちらと同年輩の女主人に頼むと、さっき来た観光の皆さんがみんな飲んでしまって、今日は切らせてしまったと景気の良い返事がきた。そんなに客が来たの?

で、焼酎の水割りをお代わりするうちに話せば、案の定、ふだんの客数は少ない。四軒続きの飲食店長屋で残っているのはウチだけと寂しがる。

東京の生まれで、大田区で同じような食堂を営んでおり、群馬の温泉が好きだったことから、三十年ほど前に移ってきたという。小柄で細身の “食堂のおばちゃん”。

繁盛していた頃の休みの日には、シウマイ弁当を買って箱根の温泉に行ったものよ、と懐かしがっていた。

姉上と共に暮らしているが、こちらはいかにも元スナックのママという身なりの方で、街はずれのスーパーに行くと言ってさっき出たまま、なかなか戻らない。

近いうちにシウマイ弁当と舟和の芋羊羹をお土産に訪ねてみることに決めている。紅葉の頃になるだろうか。

と、それで帰りの桐生行きの電車に乗ればよいものの、この日は朝飯抜きで、昼前に上流の草木ダムを見上げながら里芋の山椒味噌田楽、神戸駅に戻って蒟蒻の田楽(味噌モノばかりだ)、そしておばちゃん食堂で目玉焼コロッケ定食のおかずをもらっただけだったので、「ラーメン一杯、食べていくか」と、この街ではもう一軒駅前にあった食堂の引き戸を開けるのだった。

それが嬉しい運の尽きで、格好の飲んべえ食堂なのであった。とにかく食べものが安い。オムレツ250、レバニラ炒め350、ラーメン400。ビールはキリンの大瓶が550ときたものだ。これは飲まねばならぬ。

つきだしは胡瓜の糠漬けと大根の塩もみ。これで十分。

ラーメンもこの値段にしては立派のひとこと。これでいいのよ、たかがラーメンでないかい。しかも美食なんざ、こちとらには別世界のオハナシ。

もちろんはじめて会う地元の中高年客や店の奥さんと話すうちに、奥さんは何とこちらと同じ福島の出という。しかも我が白河のすぐ隣の町というのには、強い親しみが湧くのだった。こちらもまた行かねば。

ーー私的全国ホノボノ食堂の引き出し、二つ追加。

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