夏安居――立秋、いよいよ暑く 台所で蕎麦を茹でていると、めずらしく老母から電話が入った。茹で上がる肝心なところだったので待ってもらい、あとで掛け直した。 山芋をたくさんもらったので分けたいけれど、妻の家に送ったらいいか、別居している当方に送るかというものだった。 暑いけれどどうしているという話の末、「『あんご』ということがあるからね。暑い間は何とか家にい… トラックバック:0 コメント:0 2014年08月07日 続きを読むread more
木蓮の頃 そのやわらかな白い花をなかなか目にしなかった白木蓮。おとといだったか、電車の窓からようやく見ることができた。春告げ花の辛夷(こぶし)を追って咲く。例年より一二週間遅かったのではないだろうか。桜の開花もそろそろという時節になって、ようやく。 定年退職する人たちとの懇親会のあと、その主客だったひとりの女性に、行きつけのヤキトリ… トラックバック:0 コメント:0 2012年03月31日 続きを読むread more
『眉山』芝居見物報告――ゆり子さん熱演 開演五分前になると重たそうな緞帳がスルスルと上がって、徳島名産の藍地の幕が現れ、中央上部にしなやかな筆致で白く「眉山」と投射される。眉山とはどこから眺めても眉の形に見える徳島の山で、母はこれを眺めながら心のよりどころとして、生まれ故郷の東京から離れて日々を暮らしていたように思えた。「眉山からの風が涼しいねぇ」と。 母親龍子… トラックバック:0 コメント:0 2007年12月28日 続きを読むread more
『眉山』公演――期待と不安 柄にもなく明治座の舞台を観にゆくことにした。なぁに、石田ゆり子さんの姿を見たくてのことで。さだまさし原作『眉山』。東京神田で芸者をしていた母親(宮本信子)の最期を徳島で看取る日々の娘(ゆり子さん)。そこでは母の過去と自分の出生がたどられ、老いと終末医療についても語られるようだ。彼女としては『12人の優しい日本人』(2005年11月~20… トラックバック:1 コメント:0 2007年12月14日 続きを読むread more
潔く――石田ゆり子『天然日和2 花と小鳥と金木犀』 「そんなこんなの一日でした。 おやすみなさい。 明日もよい日でありますように」 ――「2003年8月○日」で始まる日記の結びは、だいたいこんなふうに終わる。 女優として、演ずる者として、生活する者として、日々の出来事と移り行きを、まっすぐに澄んだ眼で見て、感心し、自分を振り返る。――そんな調子でひと夏が終わり、秋… トラックバック:0 コメント:0 2007年11月10日 続きを読むread more
光の海――石田ゆり子21歳の爽やか:写真集『Yukiko’s Notebook』 玄関先のポーチ。手すりは白く、背の高い椅子も真っ白。そこに片膝をかるく乗せてすっくと背を伸ばす。左手の手は椅子の背に。そして振り返る先には何があるのか、穏やかな意識で何かを見つめるさま。軽く結んだ唇。長い髪。キャミソールとショーツの軽い姿。木々の緑が白っぽく見える逆光の背景の中に浮かぶ楚々とした姿。何を思うのか、知れない。自らのまっすぐ… トラックバック:0 コメント:0 2007年04月06日 続きを読むread more
石田ゆり子『一個人』表紙写真から――お寺の本堂は何故あんなに派手なの? 3月28日発売の雑誌『一個人』は石田ゆり子さんが表紙で、巻頭にインタビューが載っていた。その内容は、彼女のエッセーの域を超えるものではなかった。仕事のないときの生活――自炊が基本で、それも、野菜や魚を茹でたり煮たりの食事。車(今もミニ・クーパーだろうな)で街へ出て、ひっそりとした喫茶店で独り静かに本を読みふける――。それはそれは地味な生… トラックバック:0 コメント:0 2007年04月02日 続きを読むread more
「今週,妻が浮気します」7最終――ひとり住み続ける者 ふたりは決して互いが嫌いなわけではなかった。好きではありながら道義上別れざるをえなかったのだ。そんな人たちは、心が平常に直れば、また元のさやにもどればいい。それが幸せというものだ。問題のない家庭なんて、夫婦なんてありはしない。「少しの悲しみのない純粋な幸福なんて、めったにあるものではない」(ハイネ)――と。 「家に帰ろう。お前しか… トラックバック:0 コメント:0 2007年03月28日 続きを読むread more
「今週,妻が浮気をします」6――なぜ別れなければならなかったか 「やり直そう、俺たち」と言って、くちづけをしようと身を寄せる。寸前、妻の浮気相手の姿がよぎってしまう。それを振りはらいもう一度彼女に近づくが、どうしてもあいつが浮かび上がってくる。「何も言わないで。分かってる」 息子をはさんだ二人の笑顔の写真。あの頃には戻れない……。 「離婚しよう。……好きだから、別れてください」 「別れまし… トラックバック:0 コメント:0 2007年03月21日 続きを読むread more
安らぎ――「平成教育委員会」における石田ゆり子 穏やかな面持ちで考えている石田ゆり子さん。少しフリルの入ったオフホワイトのブラウス姿で長いネックレスをしていた。そして濃いオリーブかダークブラウンのスカート……下のふちの部分が十センチほど色違い。目立たない、落ち着いた、楚々とした、しかし美的センスの確かな落ち着いた服装だった。 07年2月18日夜のフジテレビ「平成教育委員会」に、… トラックバック:2 コメント:0 2007年03月19日 続きを読むread more
「今週,妻が浮気します」5――陶子の味方として パソコンのキーボードをたたく陶子の指は主婦の指に違いなかった。ふつうのオフィス勤めの女性のように爪を伸ばすこともなく、マニキュアで飾る様子もない。美人に似合わず、意外に太目の指で、地肌は水仕事に痛んで荒れていた。 最愛の息子が、バス停で一緒に待っていた自分の元を、ちょっと目を放した隙に離れ、迷子になってしまった。それを夫に責められ… トラックバック:0 コメント:0 2007年03月07日 続きを読むread more
「今週,妻が浮気します」4――男は“それほど”、女は“それしか” 陶子は悩み疲れ、やつれていた。そしてようやく帰宅して話をした夫の言葉を聞いて絶句し、目をむいた。 「そんなこと……!?」 ――絶望の表情を石田ゆり子に見るのは、はじめて。真に迫るものがあった。 幼稚園へ子供を送り、毎朝のゴミ出しを夫は、している。マンションのの奥さん連中からほめられるほどに。「理解がある旦那さんねぇ」―。 … トラックバック:1 コメント:0 2007年02月27日 続きを読むread more
「今週,妻が浮気します」3――男と女は何故一緒に暮らすのだろう 「正式に別居します」―。番組の本編が終わってから、来週の予告の末尾に陶子(石田ゆり子)は言い放った。夫(ユースケサンタマリア)の復讐に対する報いである。 今回、夫は陶子のたった一度の浮気の相手(藤井フミヤ)を呼び出し、「妻に浮気された男」の痛みをなすりつけようとして、「夫に浮気された女」である彼の妻に電話し、浮気の事実を伝えた。「… トラックバック:1 コメント:0 2007年02月15日 続きを読むread more
「今週,妻が浮気します」2――恋と現実 「会いたかった。会いたかったの。だから、私から誘ったの」―。その叫びは真実のものだった。真実というからには、理屈だけで収まるものではない。条理を超えて、何より強いものだ。いま時、そんなものがあるかって? いや、それはそうともいえるが、なによりも、今夜の彼女(石田ゆり子さん)の切羽詰った叫びは魂の真実を訴えていた。 夫は、妻の浮気の… トラックバック:0 コメント:1 2007年02月06日 続きを読むread more
「今週,妻が浮気をします」――妻の日常、夫の見方 アパレル会社に勤める妻(石田ゆり子)の日々は、人から見る限り、非難の余地のない振る舞いである。少々時代遅れの雑誌のデスクをしている夫(ユースケサンタマリア)に対して何ひとつ隠すところはないように見える。職場での仕事振り、家事、子育て…。スマートで、非のうちどころなく優しい、さわやかな妻であり母親だ。亭主に対して何の臆することもない。 … トラックバック:0 コメント:0 2007年01月23日 続きを読むread more
TVドラマを観る――“不機嫌な果実”と“ランチの女王” これまでテレビドラマは、まず観たことがなかった。恋だ愛だ、不倫だ浮気だ――そういった、人の世の、男と女のドロドロした関係は、現実の問題に比べたら、他愛ないもので、そんな架空の「劇」よりも「現実」に対処せねば、というもったいぶった理由をつけることもできる。しかし、じつは何のことはない。女房子供の前でテレビを見ながら涙をこぼしたり、女優さん… トラックバック:0 コメント:0 2006年06月09日 続きを読むread more
月が見える! この冬まで住んでいた家、高台で南に開けた私の部屋からは、月がよく見えた。満月が夜中に高く上って、終夜、住宅街を照らす。未明に目がさめて眠れぬ夜、ことに真冬の満月は恐ろしいほどに輝き、光も凍るよう。ベッドの中から窓越しに、それを呆然と眺めていた夜が、どれほどあったろうか。そして夜遅くなって姿を見せる下弦の月のもと、何を思ってその月を見上げ… トラックバック:0 コメント:2 2006年05月31日 続きを読むread more
朝 トシのせいか、心の病による不眠のせいか、いくら遅く寝入っても、朝四時か五時には目が覚めてしまう。休日はなおさらのこと、「自由な時間を有効に使おう」という貧乏精神から、まだ暗い四時前に起き抜けてしまった。 ベランダに出て一服。菊の挿し芽がシャンとしている。きょうもいい日になりそうだ。朝の大気の新鮮さと湿り気が心地よい。 … トラックバック:0 コメント:2 2006年05月21日 続きを読むread more
♪会いたくて、会いたくて ……哀切な旋律が流れるなか、石田ゆり子さんが Nikka のウィスキーを口に含む。ここちよい居間をゆっくり歩きながら。そして振り向いてカメラに向かい、「ねぇ、女房酔わせてどうするつもり?……フフッ」――の声音に中年男は胸をグサリとやられて酒屋に走る、という寸法。 もともと、ファンなのだ、彼女の。それが一気に噴火して、Amazon … トラックバック:1 コメント:0 2006年05月17日 続きを読むread more