会津の喜多方2ーー雪晴れ。またこの旅の目当て(のようなもの)

一夜明ければ快晴。空がほんとうに蒼い。純白の雪、そして蔵の壁との対比に目が醒める思い。そして、湿り気をたっぷり含んだ大気は、乾燥嫌いの身には心地良い。しかし、いかんせん寒かった。この日の早朝四時には零下四度、体感気温零下九度。札幌や紋別より低かった。

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早目に会津若松に移っておかねばならない。なぜなら今日中にさらに只見線を下って柳津までたどり着く必要があるので。何が起こるか分からない。只見線の本数は多くはないし、さらに雪の多い地帯に入ってゆく。天候が変わって昨日のようなことになっては困る。

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そもそも、今回の旅で唯一の目的らしきものは、柳津にある「斎藤清美術館」を訪ね、版画「会津の冬」の展示を観ることであった。

去年の秋のこと。この地方の紅葉をめぐり歩く団体旅行に参加した折、会津柳津駅の待合室で偶然、この地に美術館があることを知った。「フーン、なんでこんな辺鄙なところに 美術館があるんだろう」と奇異な感じがしたまま忘れていた。

しかしまた妙な巡り合わせでその後、FacebookにまぎれてきたCMでその版画家と展覧会の存在を知り、いっぺんに魅かれていた。東京渋谷での展覧ではなく、雪の中で雪の版画を見たいという贅沢な思い込みが湧き、この季節を心待ちにしていた。

同時に、これまでゆっくり見たことのない若松の町で幾日か過ごして人々の暮らしぶりを窺い、本場の喜多方ラーメンを食べてもみたかった。同じ県内の故郷白河のラーメンとどういう違いがあるのかという興味もあって。

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さて喜多方の朝。宿の朝食ではなく、むろん宿代を安くあげることもあり、朝飯はラーメンときめていた。

澄んだ味の “喜多方朝ラー” が、空きっ腹に優しい。二階にも席がある、駅前の有名そうな店。

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朝日がいっぱいに射し込む店内、ほかに客はいない。周りに惑わされず、ゆっくり居られるのがありがたい。働く方々の面持ちや、こちらの店では見ることができなかったが手馴れた方が食べものを拵える様子は、見飽きることがない。石油ストーブの匂い、壁の煤け具合、張られた品書きの古びた加減、調理場から流れてくる地元局のラジオの音、棚の上のテレビからはコメンテーターといわれる連中の無責任な戯言、パイプ腰掛けを引けばコンクリート床がガラガラと鳴る。オヤジさんが暇そうなら、寿司屋なら干瓢の煮方、ラーメン屋なら支那竹や煮豚の作り方をきく。

昔ながらの造りの食堂にはその土地の暮らしが集約されていると思っている。それがどうしたと問われれば、それを見聞きしてその地の空気に浸るのがわたしの旅なんだよね、と応えるしかない。

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一夜お世話になった旅館は、和式の構えで浴室も便所も共用だが清潔で快適。客筋も出張サラリーマンが多く、この時季は観光客も稀の様子。室内は意外にも洋式でソファほかの調度も良い趣味なので、気に入っていた。素泊まりで5000円なのが助かる。前の日は列車が大幅に遅れたため、この街はほとんど巡っていない。おかみさんに尋ねたら部屋が空いていたので、旅程を延ばして最後にまた戻ってきて世話になることにした。

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