伊東便り 4――きのうの伊東の焼き鳥屋

古くから続くもつ焼き『ひさご』は、七、八年前になるか、はじめてこの町で泊った晩に入った飲み屋でした。

豚のモツ、焼鳥また魚の干物のほかにソース焼きそばと餃子があって、この餃子がなかなかのものです。皮がひらひらと薄くて滑らかで、具もあっさりふんわり。調合されて出されるつけダレは、ふだんは敬遠するのですが、ここのは絶妙の加減で、気に入っています。まだ一度しか頼んでませんが。

昨夜は土曜日とは知らずに入ってしまい、観光の方々が次々とやってきて、手伝いのお友達が来る七時まで、おっかさんがてんてこ舞い。

その間はお通しのタヌキ豆腐(いつも同じ小鉢ながらも温豆腐・極上揚げ玉・刻み葱と濃い目の掛け出汁の組合せが結構なのです)も出されぬままーーあとになってゴメンなさいと持ってきてくれたけれどーーボトルの焼酎をいつもながら自分で好きに割るお湯でチビチビやって、お客がはける頃に頼んだシロをタレで二本焼いてもらって八百円。払いはいつも千円に届きません。

ボトルは二階堂焼酎が三千円だったか、ひと月半くらいで一本の調子で空いています。お店にとっては良い客なのかどうか、わかりません。

丁寧ではあっても客に媚びない、あっさり目のおっかさんです。「何十年も行ってないけど、先代はだいぶ変った婆さまだった」と、ある居酒屋のオバさんが評していました。

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注文はいつも一、二品。そのほかにこんなのもあります。

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熱海桜をたどって網代から多賀へ――東伊豆の春 1

去る一月の末のこと。横浜から戻ってくる伊東線の車窓から、桜が見事に咲いているのが、寝ぼけ眼に留まった。街路樹の端の方に三本ほど並んでいる。

その前も後も疲れて寝込んでいたので、どのあたりだったか分らなかったが、桜樹の向こうの海岸線や、たしか公園の手前側に咲いていたという記憶をつなぎ合わせ、網代あたりだろうと見当をつけた。沿線の風景と地名がまだ頭に入っていない頼りなさよ。

翌日早くに出かけ、あてずっぽうで網代駅で降りてみた。わが伊東からは二駅。目指す桜はその手前には見えなかった。熱海方向に北上して先に進むしかない。

海辺に向かうと、国道沿いの公園に桜の木があったが、前日の場所ではない。そこは電車からは見えないところにあるから。行く手には小高い丘が海に突き出ている。目指す桜はその先だろうか。

「参ったな、あまり歩きたくないよ…」。へこたれながら思案もつかず、仕方なく目の前の桜を撮ろうとしたが、どうもうまくゆかない。と、同年配の男性がカメラを首からぶら下げながらやってくる。メジロを追っている様子で。

隠居同士の気安さから、例の桜のありかを尋ねてみた。はたして、丘の向こうらしい。小山臨海公園の道路際に生える桜のうち熱海桜の三本が咲いていると、まさに前日の記憶どおりのことを正確に答えてくださる。

急ぐこともないので、四方山の立ち話をすれば、ご自宅は東北の日本海側にある町ではあるが、網代のマンションと行ったり来たりしているという優雅な方なのだった。熱海市の「別荘税」が固定資産税と同じほどであるとか、地元自然愛好家のカメラクラブのこと、近所の花の見どころ、鳥の種類などなど、話題は尽きない。

そのなかで、目指す桜のさらに先、隣駅の伊豆多賀から熱海高校にかけての高台に、熱海桜の遊歩道が整備されているというので、天気が良いので足を延ばす気になった。

別れるときに連絡先を交していたので、翌日になってメールを送ってみると、あちらは元気なことにその日の午後、遠路、湘南の二宮に出向き、駅近くの吾妻山公園に上り、菜の花畑越しに富士山を狙ったが、あいにくなことに、お山は隠れていたと返ってきた。以来、やりとりは途絶えている。

この日、朝飯は作る気がしなかったので、自宅近くのラーメン飲み屋『福みつ』でラーメンを作ってもらい、昼は網代の民家の玄関先に出ていた無人販売箱にあるミカンを三つほど。その残りはラーメン屋に「くーチャン、おみやげだよー」と置いて、まだ明るいうちの帰還となった。


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伊東便り 3――今日の桜。松川、郵便局裏手 2月28日

鉛色の空の下。故障したLEDスタンドを持って大型電気店に修理依頼に行く途中の川辺に、何という種類なのか、桜の老樹が見事に花をつけていました。

いつもなら競輪場行きのバスで、いったん競輪場まで乗せてもらい、少時過ごしてからおもむろに電気店への道をたどるのですが、新型ウィルス拡散防止のため、競輪場は入場禁止で、バスは通いません。往復5キロほどの歩きですが、慣れた道で、いろいろな店や川の流れもあるので、べつに大したこともなく感じられます。

きのうは港近くの観光会館前で、同じ種類の桜が盛りを終えていました。そこから2キロほど上流、この場所ではハラハラ散りかけて今日が一番の状態でしたが、いかんせん曇り空で、花の色が映えません。

まあ、これはこれで美しさを掬(すく)いとるとして、良しとしましょう。

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