桜の便り 3 @神奈川辻堂・3月22日

蕾が蕾であったのは、まだおとといのこと。荷風先生なら日記に「暴暖」と記されるような今日、同じ樹が一気に六分から七分咲きとなりました。

激変する体調の下、老父の精神は、意識がある時はきちんと筋が通っています。親族、親戚を思いやる気持ちは変わらず、近く結婚する孫への祝い金に気を回し、義妹の病状も心配するほどなので。

そしてなんと、今朝になって、入院したいと言い出したのです。先ごろから風邪を引きながら面倒を見てくれる老妻を思い、またおとといから交代で詰めている息子たちの諸々の気遣いを慮ってのことでしょう。

もともと死に対する覚悟は強く、かねがね周囲に語っていました。延命の措置は受けないことも明言していたところです。

そこで入院を自ら申し出て、家族と施設による介護から離れるというのは、死地に赴くことの最終決断をし、周囲との縁を絶ったといえるでしょう。

その申し出を聞いて病院との調整を受け持ったのは、本日の当番であった弟で、その際の父の表情はわかりません。が、冷静に自分の生命を計った上での父らしい判断であり、特別な表情を浮かべることもなかったものと思います。自分の父親ながら、大したものです。

その間こちらは何をしていたか。鵠沼の海岸に沿って江ノ島までの二キロ弱、解放された気分でぶらぶら歩きながら、波乗りに集まる老若男女の多さに驚き、何が面白いのだろうといぶかりながら、波乗り板を運ぶための器具をつけた自転車やバイクの写真を撮っていました。暢気なこと、この上なく…。

宿を出る少し前に弟から発されたメールに気づいたのは、四時間後。江ノ島のヨットハーバーを見物し、帰りのバスの中でした。驚いてそのまま病院に直行したという次第、まったく冷や汗ものでした。

画像


画像















ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック