箱根湯本『はつ花』の冷したぬき蕎麦は呑み助の友ーー「日帰り温泉」のはずが……その2

午後の半ば、すでに日陰となった川の流れを見下ろしながら燗酒をやっていたのは二、三年前の夏の頃だったろう、うす汚ない木綿地の帽子をカウンター下の棚に置き忘れてそのままにしていたのが、湯本の蕎麦屋『はつ花』本店だった。

『スコット』の洋食を食べそこね、川を渡ったのだが、なんとこちらも定休日ときたものだ。

とはいえ、その先の別館へどうぞとの案内がある。

昼どきの有名店は敬遠したいところだが、温泉に浸る前に何か腹に収めておきたい。朝は安直にもマクドナルドで200円のソーセージマフィンセットだったから。

このような繁盛店での一人客は肩身がせまい。大きなテーブルの片隅でちびちびと酒を舐めながら、向かい側の不作法な連中のザマを眺めなくてはならないのが辛い。

いったいどういう神経でそういう見ぐるしい食い方をするのかと、ほとほと呆れるばかり。若者だけでなく、いい年配のきちんとした身なりをしたご婦人たちの中にも。醜く食い散らかし、箸を放り投げたままの膳を他人様に見られて恥ずかしいと思わないのだろうか…。

それはともかく、山葵の茎の酢の物は乙なものだ。ずいぶん昔、部下の女性の父親が山で採ってきたというのを分けてもらったことがあった。ビニール袋に入れて熱湯を少し注ぎ入れ、全体にまぶして軽く熱を通すと伝え聞いた。その香りを思い出させてくれる一皿だった。

盛り蕎麦にするかどうか散々迷った末に注文した冷やしたぬき蕎麦は、まさに酒の肴および締めにうってつけのものだった。

蒲鉾の天麩羅とは意外で珍しいが、肴としては格好で、野菜とともに揚げ具合良く、冷たい山菜の浅い塩味、多めの刻み海苔や天かすも有り難い。

なお、帰り際にふと見ると、天かすをご自由にお持ちくださいといって、小袋に入れておいてあるので、ありがたく頂戴したが、この後に寄った靴屋の店員さんに差し上げることとなった経緯は、また改めて…。

燗酒はいずれもこちらが「もう、いい時分だろう」という頃に上げてきてくれて、これもまた結構なものだった。

ーーと、いつになったら温泉のくだりに移れるのだろうか!

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