箱根湯本でまずは昼メシーー「日帰り温泉」のはずが…… その1

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五割引で購入した日帰り温泉券の期限が迫っていたので、貧乏人根性は止めようもなく、年明け早々に那覇から戻ったばかりで、まだくたびれてはいたが、朝の混雑も収まった下りの東海道線に乗って出かけることにした。

温泉に入れるのは午後一時からなので、去年、仙石原のススキ見物に行った帰り、晩酌と夕食を兼ねて立ち寄った湯本の洋食『スコット』で軽くひっかけてからと目論んでいた。

熱海の老舗洋食店『スコット』は名が通っているが、こちらは聞いたことがない。この晩に初めて通りかかり、ふらりと入ってみた。ほかに目ぼしい飲み屋が見つからなかったので。

扉を開けると正面のテーブルに屈みこんでなにか読んでいたのは、ご亭主だった。驚いたように顔を上げる。オペラの岡村喬生さんそっくりの面貌と体躯に、この人の手になる料理が期待できた。

洋食屋には珍しくホッピーが置いてあるので頼むと、タンブラーでも大きめのものに並々と「三冷」ホッピーが満たされていた。焼酎・ホッピー・タンブラーがキンキンに冷やされ、氷は入れない。

焼酎の割合が本場の横須賀ホッピー並みに多くて、とてもお代わりできたものではない。しばらく後、飲み物と一緒に頼んだ串カツの皿を運んできたご亭主に、酒の濃さを笑いながら嘆くと、ウチはなんでもたっぷりですからと胸を張るのだった。

その言葉どおりに串カツもごく大ぶりで、しかも揚げ加減程よく、肉の旨さ華やかさが口に広がるので、あらためて献立表を見直すと、たしかに600円なのに驚く。特大特濃ホッピーは500円。これはスゴイ。

もうここで胃袋を仕上げようと決めてお願いしたトースト(200円)も、客の少ない店にして当然ではあれ、注文を受けてから切り分けたに違いなく、バターとパン本来の味を思い起こさせてくれ、満ち足りた晩飯が頂けた。限定10食という海老出し味噌汁(100円)を頼もうにも、すでに満腹。

すでに7時をまわったこのころになると、ご常連と見えるご近所の会社の女性副経営者と課長が、仕事の話がてらにサラダやトンカツでビールをやったり、また「お久しぶり~」と飛び込んできた旦那は、あとから来るという息子はカレーで、自分はビールにウインナ、オムレツとりあえず……などと、店に活気が出てくる。ご亭主の奥さんも手伝いに来られる。

店内はどなたの趣味か、人形や映画のポスターなどが無雑作に張られたり置かれたりしている。壁に掛けられた額に、ご亭主若かりし頃の写真があって、なかなか凛々しい。そこに付された年齢と撮影年からすると、こちらより二つ三つ年長で、しかし元気あふれる立ち居振る舞いには脱帽のほかない。

店を出て辺りを一回り。見番(芸者さんの事務所)前の路地で浩々とした満月をぼんやりと見上げていると、どこへ行っていたのかご亭主が店に戻ってきた。

ぶっきらぼうに「さっきはごっつぉうさんでした。お月さま、きれいだよ」と声を掛けると、「え、どれどれ、おう、気がつかなかった」。爺い二人して薄暗い路地から月を仰ぐ図は、滑稽だったかもしれない。

ーーというわけで、このたび日帰り湯行きに当たっての昼飲みはこの店と決めて訪ねたものの、あいにくのお休みではないか。

「くぅ…」とショゲていも始まらないので、進路を一転、蕎麦の『はつ花』に向かって裏通りをさらに進むのだった。

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