松島の秋 3ーー福浦島は風雨強く、捲土重来を期す

前々から雨降りと知りながら、朝一番で福浦島に渡った。この島のことは松島の地に訪れてから知ったのだが、他の島々とは異なり、地形が複雑で多種多様の草花、樹木が生育しているというので、これはもう、行ってみるしかなかった。

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人が通るだけの橋は先の震災で損壊したのを、有り難いことに、台湾の景勝地、日月潭の観光船業者の皆さんが義援金を募って下さったのをもとに修復されたという。頭が下がる。

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ところが、寒冷前線の接近にともなって風雨が次第に強まり、とても耐えがたいので、しばらく雨宿りしていた弁天堂から引き返すことに決した。遊歩道の中ほどまでしか進めなかったことになる。

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帰りに橋を渡る時は、宿で借りた傘が強風を受け、身体もろとも海に吹き落されるかと怖れを感じるほどに橋の幅は狭く、欄干も低く見えたので、傘をすぼめ、身をかがめ、300メートル近くも続く橋をそろそろとたどるしかないのだった。

橋のたもとの休憩所に戻り、いや、避難してというところか、串刺しの餅を温めてもらってやっと一息。靴もズボンもずぶ濡れで、寒い。

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前日夕方に前を通りかかり、夕飯はここで世話になろうとしていたが、一回りして行ってみると、すでに閉店していたラーメン屋さんがあった。親父さんが店の入り口でタバコをくゆらせていたのは、夕方の仕事前の一服ではなく、一日の仕事終いだった。

再び土砂降りをついて店に着き、傘の雨を払って中を覗くと、昼食どきを外したつもりが、席が埋まっていた。が、よくみると幸いにも一卓空いていた。客のほとんどは観光バスの運転士、ガイドさんで、それぞれ話が弾んでいる。

こちらは一人申し訳なさそうな顔で、調理場の親父さんの仕事の進め方を肴に、寒いのにビールをすすり、冷や酒をなめ、餃子と炒飯の豪華な昼メシをゆっくりいただくのだった。

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午後もまだ半ば。宿に戻るのももったいないので、瑞巌寺に寄ってみると、前夜には気がつかなかった山門脇の紅葉が見事だった。

その近くに置かれた「芭蕉翁奥の細道松島の文」と銘された重厚な碑は、雨に濡れて黒ぐろとした光を潜め、刻まれた撰文の流麗かつ剛毅zな筆致と相まった風格に魅かれて、しばらくの間そこを離れることができないのだった。

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ーーと感慨に浸り続けられるはずもない生身の貧乏旅人は、宿に戻れば、靴にたっぷりとしみ込んだ水分を乾かし、ズボンを干す作業に没頭せざるを得ないのだった。「無茶をするからだ」と笑わば笑え。

靴の水気を取るためにお願いしたら、何と英字紙の古新聞を恵んでくださった宿のご主人の厚意は忘れまい。それなくしては、続く三日間の旅程は満足に成り立たなかったのだから。

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