札所からの帰り道ーー秩父訪問余話 7

その昔、「帰り道は遠かった…」という歌があったが、これまでの経験からいえば、同じ道を戻るときは、往きよりも短く思えるものだ。あの歌の中の「物語」としては、帰りの道筋を長く感じたのだろうから、文句を言うつもりはないが。

観音院からバス停留所までの帰りは緩やかな下り坂で、その先に予定もなく、まだ午後も早かったので、気楽なことこの上なく、紅葉また黄葉の始まりかけた草木をゆっくりと眺めることができた。数年前の駆け足巡拝の時とは大違い。

遅い昼飯をとろうとして途中で立ち寄ったのは、静かそうで商売気のない佇まいで、『山田家』という。もっと立派な構えの蕎麦屋もあったが、どうも大仰で気が乗らず、客もかなり居る様子だったので、前を通り過ぎた。

囲炉裏のストーブでは薪が焚かれ、茶色い餅をヤカンの脇に直に並べて焼いている。おかみさんがおやつにでもするのか。栃の実を使って作っているという。時々やって来る息子さんに持たせてやるのだと。

干した栃の実を水や灰汁でさらしたり、昔ながらのやり方で作っている。薪ストーブはその灰汁を用意するために焚いているそうな。店の奥の方、灯りも点していないところで、ゴザの上には干した栃の実が広げられていた。

天ざる蕎麦900円は、少し扁平な打ち方の蕎麦に、ツユも確かな味わいで、結構なものだった。天ぷらも土地の野菜を揚げたのがこんもりと添えられて。

二本目の銚子とともに新しい漬物を出してくれたが、何の菜なのか分からない。細めの高菜のようなもので。

蕎麦を打つのはご亭主なのだろう。お二人そろって物静かで、何よりのこと。

この後は度々秩父をお訪ねすることになりそうだが、毎回は無理でも通いたいものだ。

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