フラフラと仙台に 1ーーまずは塩釜。塩竈神社

先の震災から4年近く経っていたその時、家屋がまばらな港近くの寒々しい光景もさることながら、最も衝撃を受けたのは、笹蒲鉾の工場直売『橋本蒲鉾店』でご店主の奥さんの丁重な応対を受けての去りぎわに見た、お知り合いが撮影したというあの津波のビデオだった。

それは「波」などという生易しいものでなく、「海全体」だった。町に押し寄せ、土地全体をノッペリと覆い尽くし、果てのない水面が壊れた家屋や家具やゴミを浮かべながら、いつ果てるともなく陸の内部へ内部へと進み続けている。陸が海になっていた。画面に映るのは、ただただ水面だけ。

非日常の光景が続くのを前に、判断する力もなく、意識をもほとんど喪い、ただただ怖ろしく、絶望すると同時に嗚咽がこみ上げるのを押さえられず、わなわなと歪む口と鼻を手のひらで隠しながら奥さんへの礼もシドロモドロ、逃げるように店を飛び出していた。

ーーおととしの暮れ、「おいしい寿司を食べたい」という単純な欲望を機に、ずっと気にかかっていた震災後の宮城を訪れたときのことである。

笹蒲鉾の工場が気になっていた。奥さんはお元気だろうか。その近くの鮨屋『しおがま』の年若い親方はどうしているだろう。

・・・ ・・・ ・・・

とはいえ、塩釜駅に降り立ってまず向かったのは、港の反対側、小高い山の上にあるという塩竈神社だった。

時間はいくらでもあった。笑ってしまうのだが、予定は何もなくて。鮨屋に予約を入れたわけでもなく、腹も空いていない。ただ、横浜橋商店街の立ち飲み中華『日昇』でいつもワンタンを茹で、腸詰を焼いてくれる中国南部・潮州出身の姐さんに蒲鉾を買っていってやろうかと、なんとなく思ってはいた。食べたことがないというので。

200段ほどあるという正面の参道を行くのは遠慮して、手前のだらだら坂からお邪魔することにした。敷石が黒々として立派だった。

塩竈神社は梅が盛り。祈る心を持てぬ馬鹿者は、形ばかりのお参りを済ませてから、樹と花を眺めるばかり。

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