茄子の辛味炒め煮――おかずが一品できるまで
茄子が5個128円で買えた。那須で生った茄子。生産者、荒井宏幸さん。ありがとう。プックリ、しっかりと硬く締まった身で、旨そうだった。盛りを過ぎた今ごろの「秋茄子」は水分が少ないのだという。
「どうやって食おうか。味噌炒め? ピーマンと一緒にするか? ピーマンも98円で良いものが手に入ったし……。なんか、気が進まない。かといって、塩もみは夏のあいだに作りすぎて、食べ飽きてしまったし、それでガブガブと焼酎を飲む季節でもない」――こうして二、三日たってしまった。
「このままでは、しなびてダメにしてしまう」――と思って、苦しまぎれにCOOKPADをのぞいてみた。例によって玉石混交の献立が際限なく並んでいる。
そのなかで良心的で丁寧な作り方の記事が目にとまった。「【冷えても美味しい】なすのピリ辛炒め煮」(recipe 232742)。
「縦半分に切って、斜めに切り込みを入れて一口大に切る」、「塩水に5分ほどつけることによりアク抜きするとともに、炒めるときの油の吸収を抑える」という説明書きが気に入った。実用的で簡潔、明瞭だ。
つくり方は簡単で、水気をよく切った茄子を唐辛子とともに、やや多めの油で炒め、砂糖と酒と醤油を加えてフタをする。軟らかくなりかかったら仕上げに味醂を加え、様子を見て火を落とすまでのこと。
軟らかすぎない方が個人的には好もしいので、煮上がったらすぐに丼に移して冷ました。が、どうにも見栄えが悪い。どんよりと黒いものが丼の中に固まっている。「色味が欲しい……」。
また、鍋には煮汁が少し残っていて、そのまま捨てるに忍びない。
そこで、昨日仕入れた100円のインゲンを半袋、追加することにした。煮汁はさほど量がない。そこに水を加えて煮上げることも考えられるが、緑色の冴えが消えてしまいそうだ。そこで、「電子レンジで加熱して、煮汁をからめる」ことにした。そうしてようやく出来上がった、茄子とインゲンの辛味炒め煮。
この料理の要諦は、まず、縦半分に割った茄子の実に切り込みを約3ミリ幅で入れ、一口大に切り分ける作業。じっさいに手を下してみると、身の半分ほどの深さまで切れ目を8筋ほど入れるごとに切り離し、それを切れ目に直角に半分に切ると、ちょうど一口大になる。この手仕事が、いかにも心地よい。食べる人(自分だけど)の身になって施す作業の尊さ。
いま一つの秘訣は、塩水に浸した茄子の水気をよく切ることか。ザルで水気をよくよく切ったものを、布巾にとってなお水気をふき取る。このあと炒めるときに油がはねなくなるのだから、厭うべき手間ではないだろう。
終わってみれば、捨てたものは茄子のヘタと唐辛子の種。残ったものは、わずかに鍋に付いた調味料。丼の底に残った煮汁が少し。そして唐辛子のカラ。
何がなし、禅寺での食事の作法が思い浮かぶ。音もなく食べ終わると一杯の茶をいくつかの椀に移し替えながら飲みほす。次には、あらたに一杯注がれる白湯でもって、複雑な手順で食器を清め流し、最後の一口は飲み干すのだと。
無から始まって有が生じ、事が起こり、用が済んで、無に帰る。
材料費は、茄子が77円、インゲン50円、唐辛子は中国産だから5円にもならないだろう。調味料はわずかなものだし、手間賃はもちろんタダ。これで二食分のおかずになる。安いものだ。また不思議なことに、自分で作ったものが一番ウマい……。
「どうやって食おうか。味噌炒め? ピーマンと一緒にするか? ピーマンも98円で良いものが手に入ったし……。なんか、気が進まない。かといって、塩もみは夏のあいだに作りすぎて、食べ飽きてしまったし、それでガブガブと焼酎を飲む季節でもない」――こうして二、三日たってしまった。
「このままでは、しなびてダメにしてしまう」――と思って、苦しまぎれにCOOKPADをのぞいてみた。例によって玉石混交の献立が際限なく並んでいる。
そのなかで良心的で丁寧な作り方の記事が目にとまった。「【冷えても美味しい】なすのピリ辛炒め煮」(recipe 232742)。
「縦半分に切って、斜めに切り込みを入れて一口大に切る」、「塩水に5分ほどつけることによりアク抜きするとともに、炒めるときの油の吸収を抑える」という説明書きが気に入った。実用的で簡潔、明瞭だ。
つくり方は簡単で、水気をよく切った茄子を唐辛子とともに、やや多めの油で炒め、砂糖と酒と醤油を加えてフタをする。軟らかくなりかかったら仕上げに味醂を加え、様子を見て火を落とすまでのこと。
軟らかすぎない方が個人的には好もしいので、煮上がったらすぐに丼に移して冷ました。が、どうにも見栄えが悪い。どんよりと黒いものが丼の中に固まっている。「色味が欲しい……」。
また、鍋には煮汁が少し残っていて、そのまま捨てるに忍びない。
そこで、昨日仕入れた100円のインゲンを半袋、追加することにした。煮汁はさほど量がない。そこに水を加えて煮上げることも考えられるが、緑色の冴えが消えてしまいそうだ。そこで、「電子レンジで加熱して、煮汁をからめる」ことにした。そうしてようやく出来上がった、茄子とインゲンの辛味炒め煮。
この料理の要諦は、まず、縦半分に割った茄子の実に切り込みを約3ミリ幅で入れ、一口大に切り分ける作業。じっさいに手を下してみると、身の半分ほどの深さまで切れ目を8筋ほど入れるごとに切り離し、それを切れ目に直角に半分に切ると、ちょうど一口大になる。この手仕事が、いかにも心地よい。食べる人(自分だけど)の身になって施す作業の尊さ。
いま一つの秘訣は、塩水に浸した茄子の水気をよく切ることか。ザルで水気をよくよく切ったものを、布巾にとってなお水気をふき取る。このあと炒めるときに油がはねなくなるのだから、厭うべき手間ではないだろう。
終わってみれば、捨てたものは茄子のヘタと唐辛子の種。残ったものは、わずかに鍋に付いた調味料。丼の底に残った煮汁が少し。そして唐辛子のカラ。
何がなし、禅寺での食事の作法が思い浮かぶ。音もなく食べ終わると一杯の茶をいくつかの椀に移し替えながら飲みほす。次には、あらたに一杯注がれる白湯でもって、複雑な手順で食器を清め流し、最後の一口は飲み干すのだと。
無から始まって有が生じ、事が起こり、用が済んで、無に帰る。
材料費は、茄子が77円、インゲン50円、唐辛子は中国産だから5円にもならないだろう。調味料はわずかなものだし、手間賃はもちろんタダ。これで二食分のおかずになる。安いものだ。また不思議なことに、自分で作ったものが一番ウマい……。

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