歳を重ねて――酒井和歌子さん「カゼ、やね」から46年。懐かしいということ

今そのCFを何十年ぶりかで見返してみると、彼女の顔かたちと声が、思い描いていたものと全く異なることに気がつく。あまりに若すぎる面持ちで、おさないともいえる高い調子の声音なので。武田製薬の風邪薬・新ベンザAを酒井和歌子さんが「カゼ、やね」と宣伝していたCFである。1967年のものを見ている。彼女当時17、8歳。見ていたこちらは14歳――毎週日曜の7時、TBSテレビにチャンネルを合わせていた中学生だった。
http://www.youtube.com/watch?v=j3-NC1YFJCo)。

昨6月10日の「徹子の部屋」にこの人が出演していて、あいかわらずの清楚さとお茶目さに、初老の当方はひとり「懐かしさ」に浸っていたことと比べると、46年前のCMは、あまりに遠い昔の彼女を映し出していた。

きっと、その後の彼女の姿かたちを当時のCMに置き換えながら記憶を変形させ続けてきたものだろう。「記憶」と当時の映像との差がありすぎて、感じる「懐かしさ」の度合は低かったのだろう。不思議なものだ。

しかしそれは外面だけのことで、番組の中での話を聞いていると、彼女自身はずっと変わっていないことを知る。

自分の化粧や身の回りに無頓着で、普通の女優さんなら折々に手鏡で顔を確かめるところ、彼女はすこしも見ることがないらしい。仕事から戻ったらまず化粧を落とすという。端正な姿とは裏腹に、片付けができないといって笑う。

番組の中で30年前に出演した時の映像が出た。ひとこと話すごとにハンカチを折って軽く鼻に当てたり目じりに触れたりしている。その姿は今回も変わらない。つつましく、しとやかで……。「わたしなんて、ハンカチを持っていても使いこなせなくて、一日でなくしてしまうのに」と感心していた徹子さん。

その無頓着さ、方向音痴(!)、そして対極の端正さ、謙虚さ、今なお残るお嬢様らしさが微妙なバランスをとったところに彼女の魅力があるのだろうか。その出演するドラマを観ることもなく、もちろん舞台に出向くこともないが、ともにこの世に生きていることが折々に知れるだけで安心できるような、そんな女優さんがいてくれることは、ありがたい。

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この記事へのコメント

2013年06月14日 09:02
minochan さん、いつもお越しいただきありがとうございます。
酒井さんは語り口も相変わらず初々しくて、慎み深く、「良家のお嬢様が、けなげにも社会に出ている」の感を強くするものでした。
芸能界にあってはどういう存在で、どんな風に言われているか分りませんが、すくなくとも老生にとっては永遠の乙女(死語!?)なのです。
2013年06月13日 22:51
こんばんは。
酒井和歌子さんが「徹子の部屋」に出てましたか。
画像で見るかぎり、いまも清楚で、はつらつとしておいでです。
ところで、出ました、kogatakuさんの地が。
「ハンカチを持っていても使いこなせなくて、一日でなくしてしまうのに、と感心」
・・・。ハンカチ、ぼくもすぐ失くしました。そして同じポケットにつっこんでいた小銭入れも。どっちが道連れにするのかしれませんが、セットで仲良くドロンするのでした。苦笑。

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  • レイバン サングラス

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