映画「網走番外地 北海篇」、ひさしぶり!

出刃包丁の刃を上に向け、「ほんとうに殺すぞ」と看守に覚らせる。その迫力には圧倒された。アラカン、嵐寛寿郎の本領。「網走番外地 北海篇」(1965年)。

網走刑務所厨房内で高倉健が病気の仲間のために特別食を頼みに入ってきたことに始まるもめごとを収める存在として、上背もなく、体格が良いともいえないその身から発せられる声は渋いだけで、老人のそれにすぎないが、看守の非をたたみかけて糾す語り口は、相手をねじ伏せるのに十分だった。間もなく満期出所になるが、監獄で死んでいってもかまわない。七人殺しの鬼寅、「八人殺し」になっても何でもないことだ、と。

健さんが仮出所するとき、その病気の囚人に頼まれて向かう先は、さながらロードムービーだ。しかし筋立ては綿密にできている。ギャングに使われての雪中トラック行。怪しい荷物を頼んだギャングとの物語だけでは済まずに、骨折した少女を連れた薄幸な母親が、まず一行に加わる。網走刑務所から脱走した囚人が勝手に荷台に飛び乗り、また、心中しようとして男に裏切られたお嬢様が拾われる。

各々が繰り広げる人と人との情のやり取り。母親は脱走囚人から久しぶりに優しい言葉をかけられ、囚人も、彼女の涙の下で死んでいく。ギャングの手下の方は心中しそこねた女に実の妹の面影を見て優しくして、自分のくだらない人生を恥じ、最後に「これで楽になれる」と安んじて銃弾に死ぬ。恋人に去られて虚ろだったお嬢さんは、自分の物語に決着をつけようと立ち上がる。

やくざの落とし前の付け方。犯罪と活劇、健さんの男気の表れに往年の東映映画の活力を見た。1965年、東京オリンピックを成功裡に終え、躍進を続ける時代の勢い。

大原麗子(当時17歳)もトラックの持ち主の娘としてなぜかその一行に加わっていて、いかつい野郎ばかりの映画に華を添えていたが、CMに彼女の没後3年ドラマスペシャル「女優麗子~炎のように」の番組宣伝が流れているのが皮肉だった。もしくは、それ狙いの放映? ま、どうでもよろしい。




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • オークリー サングラス

    Excerpt: 映画「網走番外地 北海篇」、ひさしぶり! 一日一夜/ウェブリブログ Weblog: オークリー サングラス racked: 2013-07-03 19:10