京都国立博物館「シルクロード 文字を辿って」展に寄せて

白樺の樹皮に書き付けられた経文の断片。木簡に書きとめられた文字。それらはとても文字としてとらえることができないものだった。発見されたのはロシアの探検隊によるもので,十九世紀以降の模様であった。それにしてもその執念には敬服するばかりである。今となっても時代が下っては,漢字で書かれた長大な巻物の経文。ついには,紺地に金泥の文字で書かれた経文。さらに,印刷された『詩経』。シルクロードでつながった様々な地域,さまざまな時代の文字が並んでいた。

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京都国立博物館「シルクロード 文字を辿って」展を訪ねてみた。帰りの新幹線の発車までかなり間があったもの。三十三間堂に行ってみたら入り口付近が雑踏していたのであきらめ,道をはさんである博物館へと向かったという不真面目な訪れ方。これまで京都に何度も通いながら,一度は訪ねてみねばならないと思っていたので……。

その表題から,「辛気くさい展覧会だろうなぁ」と予想していたのだが,止めどない文字の群れ,文章にこめられた熱意と信仰には感ずるところがあった。「人間はここまでおびただしい事柄を,手間を省みずに一字一字集中して書くことが出来るのか」。「何のためにこのような努力を傾け,そして他の人はどのような思いでこれらの文字をたどるのか」と。

ことに,西夏文字というものを初めて目にして驚き,その異様な美しさに魅かれた。漢字の画数を極端に増やし,すべての文字が二十画以上はありそうな文字。

自らを省みて,ちかごろは丁寧に字を書くことがない。なぐり書きのメモ程度のものばかり。清書するものは,書簡,葉書の本文はおろか宛名にいたるまですべてパソコン任せという寒々しさである。さしあたって毛筆習字の手習いに通おうという意欲もない。この体たらく,致し方なし。

文字の中に籠められた人間の情念を思うひと時だった。

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