日射の下――京都御苑、白い道

晴れ上がった京都の空の下、御苑は果てしなく広がり、御所の塀は歩いても歩いても、ずっと先まで伸びていた。一歩ずつが蟻の動きかと思われるほどの歩みでしかなかった。優に六車線分はあろうと思えるほどの砂利道の照り返しはひどく、進まぬ歩きに難儀した。人通りは稀。不釣合いなその拡がり。

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東京の皇居前の広場など比べ物にならない広さと長さだった。幕末、公家の攘夷熱は高まり、薩長の武士達との行き来は激しかったろうに、そんな生臭さなどすべて薄めて無くしてしまうかのような御所の広大さ。どのような人たちがどのように暮らしていたのだろうか。一角に、明治天皇生誕の地、中山忠能の屋敷跡があった。あの活動家の中山かと、ぼんやりと思う。その娘が明治天皇の母で、四歳までその屋敷で育てられたのだと。それにしても、今はその屋敷など窺い知れぬほどの木立になっている。百五十年はそれほどまでに人と屋敷を消し去ってしまうのか。炎天の下、考えるともなく、三角に折ったバンダナを頭に被って歩き続けた。

たまに自転車で通る人は砂利道の中の「けものみち」ならぬ、踏みならされて砂利が少なくなった「自転車道」の上をたどっていた。関東にはない男の顔。頭が大きくて、顎が伸びている。信貴山縁起絵巻などに描かれている中にありそうな顔立ちの人が通る。

北の方の口から御苑に入ってきたところにあった野球場に向かうと見える少年野球チームの一団。連なって砂利道を踏み分けて走り抜ける。暑い中、ごくろうさん。

同じように、歩く者にとっても、松と楓の林のなか、芝生の中を通る細道があった。しかし、数限りない人が歩いてきたその道を同じように倣って歩くことには抵抗があった。日差しは避けられても、定められた小道を歩くことを潔しとしない臍曲がり。かといって砂利道には出たくないし……。木陰を選びながら進む。

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振り仰ぐ青空に浮かぶ白い雲。その勢い。百日紅も空に向かって枝を伸ばす。季節はまだ、夏。

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