初夏京都行 二

二日目……旅先であっても、いつもと同じように五時半に目が覚める。少し開けていたカーテンから朝の光が満ち溢れてくる。だが、パソコンを持ってきているはずもなく、何もすることがない。朝風呂を浴びるほど寝苦しかったこともなく、朝食の支度をする必要もない。ベッドに横たわったまま、天井を見つめる。しばらく前に求めたこの街の案内書で、ビーフカツ・サンドが四五〇円で駅の売店に売っているというのを見つけて、楽しみにしていた。しかし、開店までには間がある。退屈。いちおう顔を洗って、ひげを剃ると、することが完全にない。

おもむろに、きょう一日の行程を考える。……銀閣寺には行ったことがなかった。その近くに、以前から訪ねたかったラーメン屋がある。言うところの「京風ラーメン」ではなく、スープは濃厚で背脂まで振り入れられているという。これで昼食までの行き先は決まった。そのあとは成り行きにまかせよう。夕方はまた新京極の〔スタンド〕だ。夕食は安く上げて寿司折でも買い、ホテルの部屋ででも食べよう……。

そろそろビーフカツ・サンドの売店が開く時間だ。半ズボンにTシャツでホテルの外に出る。朝から暑い。はたしてそれは店に並んでいる。迷わず買い込んで、ついでに隣の売店で発泡酒も。朝からの愉しみ。

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ソースと衣の味加減と油の具合よく、牛肉も歯ざわり良く、噛みごたえ適度で、キチンと旨い。五三〇円で野菜サンドも入っている。当たり。これと発泡酒でご満悦なのだから、他愛ない。

この街はバスが四通八達している。各路線が入り組んでいるので、よその土地の者にはサッパリ把握できない。わずかな土地勘を頼りに、各停留所の路線図と、やって来たバスの行き先表示を見て、乗り込むことになる。

京都駅のバスターミナルに行ってみると、ちょうど銀閣寺行きの急行バスが出るところだった。幸先が良い。東大路を知恩院前、平安神宮、……と北に上ってゆく。

銀閣寺。その建物に興味は湧かない。庭だけを見続けた。日当たりの良いところは枯山水、西に面した日当たりの悪い林は一面に苔むしている。このような苔の広がりは見たことがなかった。様々な種類。さまざまな緑。日の光がまばらに射す。湿気と緑に包まれて、しばし潤った気持になる。あまりに湿った土地なのだろう。「この先○○が出るので注意」とある。オソロシイ。夢は醒めた。

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暑い。寺を出ると、修学旅行の生徒達がソフトクリームをなめている。そのマネをする。となりの建物の玄関先にある日陰を寸借。行儀は悪いが、なに、旅の恥である。

銀閣寺の庭をゆっくりと写真を撮って回ったせいか、昼飯を食ってもおかしくない時間になっていたので、お目当てのラーメン屋〔ますたに〕(http://www.mediawars.ne.jp/~genius/hanamiyabi/chuka/masutani.html 辛口評)に向かう。店は意外に小さく間口は一間ほど、カウンターが八席ほど続き、奥にはテーブル二つ。清潔で好感が持てる。先客ひとり。店主と助手、そして給仕の娘さん。みな若い。スープには脂身が浮いているが、クドくはなく、コクのある味わいで、一滴のこさず平らげた。たっぷり乗ったネギの柔らかさと歯ざわりが京都の和らぎを感じさせた。横浜の「家系」と呼ばれる(イヤな言葉だ)ような豚骨の野獣味ではなく、上品な鳥のスープを濃い目にとって醤油と調和させ、背油を振ってまろ味を加えたところを、ネギでやんわりと締める――といったところだろうか。

(次は清水へ向かいます、暑い、アツイ)

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    Excerpt: 修学旅行を計画する時、せっかくの修学旅行だからと豪華に計画する人と、何度も修学旅行したいからと、なるべく安くあげようとする人といますね。 Weblog: 国内旅行でも海外旅行でも旅行に行きたいんだってば racked: 2007-10-15 18:46